導入事例

文具

視聴者を楽しませる秘訣を出演者に聞く!数字だけを追わないライブコマースの続け方(後半)

「うまくしゃべらなくていい」どんな人を視聴者として想定しているのか?

前半は、ライブ配信をどのように実施しているのか?その裏側に潜入しましたが、後半は、ライブ終了後に、ライブの企画の立て方や紹介する商品の選び方、ライブを始めたきっかけ、視聴者さんを楽しませるために意識していることなど、気になるポイントを質問しました。

株式会社フューチャーショップ稲生(写真左)アシュフォード株式会社の向井さん(写真右)

視聴者さんを楽しませるために意識していること

fs稲生:ライブお疲れさまでした!向井さんのエネルギーが画面越しにも伝わってきて、見ているこちらも元気になるような配信でした。

向井さん:お客さまに楽しんでいただくには、まずは配信者が楽しまなくてはいけないと思っていますので、私自身がライブを楽しむことを常に心がけています。

fs稲生:ライブをやりたいと思っても、しゃべりに自信がないという方もいらっしゃいます。そういった方は、どうすればうまくしゃべれるでしょうか。

向井さん:私も偉そうなことを言えるほど上手くはありませんが、1つアドバイスするとしたら、「うまくしゃべらなくていい」と思うと気が楽になるかもしれません。商品のことを正確に伝えなくてはいけないとか、間違ってはいけないと気負うと、緊張してしゃべりにくくなってしまうでしょう。

ライブの配信中は、とにかく視聴者さんと楽しくおしゃべりすることに集中してみてはどうでしょうか。しゃべり方が、つたなくてもいい。同じようなことを繰り返ししゃべってもいいと思うんです。私は、視聴者さんからコメントでツッコミがくると、しっかり見てくださっているんだと感じてむしろ嬉しいですよ。

ライブ配信を始めたきっかけ

fs稲生:ライブ配信を始めたきっかけを教えていただけますか?

向井さん:ライブを始めたきっかけは、2020年春に新型コロナウイルスの感染拡大を受けて実店舗での販売が難しくなったことです。

まずはインスタライブを始めました。お店で買い物ができないお客さまのために、せめてウインドウショッピングを楽しんでいただきたいと思ったからです。物流倉庫から配信し、お客さまが「見たい」とコメントで言っていただいた商品を倉庫の棚から持ってきて、すぐに紹介するスタイルが好評でした。インスタライブは今でも毎週火曜日に配信しています。

fs稲生:2024年4月に「Live cottage(ライブコテージ)」をご導入いただき、自社ライブ配信を開始されました。インスタライブに加えて自社ライブを始めた理由をお聞かせいただけますか?

向井さん:インスタライブを配信していくなかで、ライブ中に商品を買いたいというお客さまもいらっしゃいましたので自社ライブ配信でのライブコマースを始めました。

そもそも、インスタライブを始めた当初から、ライブ中に商品を買えるようにしたいとは思っていました。弊社の商品は中国でも販売しており、中国ではライブコマースでの販売で驚くほど売れています。その流れを見ている中で、視聴画面からECサイトに直接遷移することができるLive cottageの存在を知り、システム的に使い勝手が良さそうだったので導入を決めました。

スマホの視聴画面(画像左)では右下の「Item list」をタップすると商品情報が表示される(商品画像を右下に固定表示することも可能)。パソコン(画像右)では商品情報が常時表示される。

インスタライブと自社ライブの役割の違い

fs稲生:インスタライブと自社ライブの使い分けについてお聞きしたいのですが、まずは、インスタライブはどのような役割があるのでしょうか。

向井さん:インスタライブは、ブランドのファンの方々に加え、システム手帳がなんとなく気になっているような潜在層とのコミュニケーションも意識して配信しています。アシュフォードの商品やブランドコンセプトなどを説明するだけでなく、システム手帳の歴史やカルチャーといった話題も織り交ぜることで、システム手帳に興味を持っていただくことを心がけています。

スマホでスケジュール管理ができる時代になり、システム手帳の役割も変わりました。例えば、自分の気持ちや考えを文字にすることで思考を整理する「ジャーナリング」のためにシステム手帳を買うユーザーさんは少なくありません。また、手帳のページをシールなどで装飾したり、気分に合わせてカバーを変えたりするなど、ファッションの1つとして使う方もいらっしゃいます。そういった手帳文化の変遷を踏まえて、手書きの手帳の良さを啓発することを意識しています。

fs稲生:自社ライブは、どのような位置付けなのでしょうか。

向井さん:自社ライブで意識していることの1つは「商品を買っていただく」ことです。ライブを視聴するお客さまは、ブランドの熱心なファンの方々が多く、アシュフォードの商品をいくつもご愛用いただいているお客さまもいらっしゃいます。ですから、ライブの企画を決めるときは、視聴してくださるお客さまの気持ちを想像し、どのような情報を伝えれば購入していただけるかを考えています。

また、自社ライブでは「店頭で接客しているような感覚」も大切にしています。店舗では、お客さまは商品を手に取ったり、店員さんに質問したりしながら買い物をしますよね。ライブでは、お客さまの代わりに私が商品を手に取って、お客さまが気になる商品のディテールや革の質感、使い勝手、サイズ感などを出来るだけリアルに伝えるよう意識しています。

ただし、自社ライブ は売ることを重視しているとは言え、数字だけを追っているわけではありません。ブランドのファンの方々に、ブランドのことをさらに好きになっていただくことを第一に考えています。

ライブコマースの売上貢献とアーカイブの効果

fs稲生:本日の配信中に、向井さんが紹介したシャルトルのシステム手帳がライブ経由で売れていました。今日のライブで特に意識したことはありますか?

向井さん:今日紹介したシャルトルのホワイトカラーは、2024年12月に発売した商品です。発売前から楽しみに待っていてくださったお客さまは、おそらくすでに購入していらっしゃると思います。ですから、今日の配信では、〈シャルトルの新作が気になっていて、買おうか迷っている方〉が知りたいであろうことをお伝えするように意識しました。

fs稲生:過去のライブコマースでは、アーカイブでも商品が売れていますね。アーカイブすることも想定して配信内容を決めているのでしょうか。

向井さん:そうですね。購入を迷っているお客さまが配信後に見返していただくことも想定しています。

ライブ配信は、お客様のご都合によってリアルタイムで視聴できる方が限られてしまいます。また、配信には準備などのリソースもかかるため、ライブ視聴だけで終わらせてしまうのはもったいないと考えています。

アーカイブ視聴は視聴時の没入感ではライブに劣るが、ライブよりも多くの方に接触できる

そのため、ライブ配信後にはアーカイブ動画を視聴していただけるよう、会員さまにメールレターをお送りしています。さらに、ECサイト内での購買体験を向上させるため、商品ページにアーカイブ動画を埋め込み、訪れた方が〈その商品を紹介している映像〉を見られるようにしています。

単なる商品紹介動画と違い、ライブ配信のアーカイブにはお客様からのコメントが含まれているため、レビューのような効果を生み出します。商品ページにアーカイブ動画を掲載することで、商品の詳細情報が伝わり、購買意欲の向上や購入前の不安解消につながり、結果的に売上の増加が期待できると考えています。

イメージ動画:商品ページに訪れた際、小窓でその商品を紹介しているアーカイブ動画が再生される

ライブはECサイトに載せきれない思いを伝える場所

fs稲生:あらためてうかがいますが、ライブコマースには、どのようなメリットがあると感じていますか?

向井さん:ライブは、ECサイトやコーポレートサイトといった他のオンラインの顧客接点と比べて、売り手とお客さまの心理的な距離が近いと感じています。

私はブランドプランナーも務めていますので、商品化の経緯や作り手としての思い、ものづくりの裏話などもよく話すのですが、そういった編集されていない本音や、ここだけの話を楽しんでくださっている視聴者さんもいらっしゃいます。

ECサイトやコーポレートサイトには載せきれない、作り手・売り手としての思いのようなものも存分に伝えることができて、お客さまの共感を生むことができるのが、ライブの魅力ではないでしょうか。

fs稲生:最後に、これからライブコマースを始めてみたいと考えている事業者さまに向けてメッセージをお願いできますか?

向井さん:ライブに出演する方は、難しく考えすぎず、ブランドへの思いや、ブランドに対する「好き」という感情を素直にお客さまに伝えると良いと思います。あとは、自分自身が楽しんで配信すれば、その感情が画面の向こうのお客さまにも伝わると思いますよ。

fs稲生:配信者さんが楽しみながら、ブランドや商品への素直な思いを伝えることが、視聴者さんに楽しんでいただくコツなのかもしれませんね。本日はライブコマースの現場を取材させていただき、本当にありがとうございました!

取材を終えて

ライブコマースの効果について考えるとき、視聴者数やライブ経由の売上といった数字が重要であることは言うまでもありません。その一方で、数字だけに着目するのではなく、「ブランドのファンの方々に、ブランドのことをさらに好きになっていただくことを第一に考えている」という向井さんの言葉は、ライブコマースの本質をついているとも感じました。

配信者である向井さん自身がライブを楽しみ、作り手・売り手としての思いを率直に伝える。また、店頭で接客しているようなイメージで商品を紹介し、視聴者さんの気持ちに寄り添って会話を交わす。そういった向井さんのライブ に向き合う姿勢は、これからライブコマースに挑戦したいと考えている方や、すでにライブコマースを実践されている方にとって、示唆に富むものだったのではないでしょうか。

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